クルエルティフリーコスメを選ぶなら知っておきたい主要認定マーク：リーピングバニーとビューティー・ウィズアウト・ボスを解説
クルエルティフリー、つまり動物実験を行っていないコスメを選ぶことは、倫理的な消費を実践する上で重要な一歩です。しかし、近年クルエルティフリーへの関心が高まるにつれて情報が増え、どの情報が信頼できるのか、製品のどこを確認すれば良いのか分からずに混乱してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
この情報は多すぎる状況は、これからクルエルティフリーコスメを選び始めたいとお考えの方にとって、大きな課題となり得ます。自己申告の表示だけでは判断が難しく、信頼できる基準を知りたいというニーズがあるかと思います。
この記事では、クルエルティフリーコスメを選ぶ際に特に信頼性が高いとされる代表的な認定マーク、「リーピングバニー（Leaping Bunny）」と「ビューティー・ウィズアウト・ボス（Beauty Without Bunnies）」に焦点を当てて解説します。これらのマークが何を意味するのか、どのような基準に基づいているのか、そして具体的にどのように製品で見分けられるのかを、初心者の方にも分かりやすくご紹介します。この記事を通じて、クルエルティフリーコスメ選びの確かな第一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。
クルエルティフリーとは何か
まず、「クルエルティフリー（Cruelty Free）」とは、「残虐性のない」という意味であり、化粧品分野においては「製造過程で動物に対する苦痛を与える実験を行わない」という考え方や製品を指します。これは、完成品だけでなく、製品に含まれる個々の成分についても動物実験が行われていないことを含意する場合が多いです。
なぜ動物実験が行われるのかというと、製品や成分の安全性を確認するためとされてきました。しかし、動物に苦痛を与えるこの方法は倫理的な問題をはらむだけでなく、人間の安全性評価として必ずしも十分ではないという指摘もあります。そのため、動物実験を行わない代替法が開発・採用されつつあります。
なぜ信頼できる認定マークが重要なのか
「動物実験は行っていません」と製品に表示されている場合でも、その言葉の裏付けとなる基準は様々です。企業が自社で定めた基準に基づいている場合もあれば、法的な規制が緩やかな国からの製品の場合もあります。
一方、信頼できる第三者機関による認定マークは、特定の厳格な基準（例えば、サプライヤーに遡って動物実験が行われていないかなど）を満たしていることを証明するものです。これらの認定マークを取得している製品を選ぶことで、より確実にクルエルティフリーの製品を選べると考えられます。
主要なクルエルティフリー認定マークの解説
ここでは、国際的に広く認知されており、信頼性の高いとされる二つの主要な認定マークをご紹介します。
1. リーピングバニー（Leaping Bunny）
- 運営団体: Cruelty Free International (英国) と CCIC (Coalition for Consumer Information on Cosmetics, 北米)
- 基準: 「スタンダード・フォー・クルエルティフリー・インターナショナル（Standard for Cruelty Free International）」という国際的な基準に基づいています。この基準は厳格で、製品の完成品、成分、サプライヤー、製造者を含むサプライチェーン全体において動物実験を行っていないことを要求します。また、認定取得後も定期的な監査やチェックが行われます。
- 見分け方: ウサギが跳ねているシルエットのマークです。パッケージの裏面や側面、または公式サイトなどで確認できます。マークの近くに「Cruelty Free International」や「CCIC」といった運営団体名が記載されていることもあります。
- 信頼性: サプライヤー監査まで含めた厳しい基準と、継続的なチェック体制により、国際的に最も信頼性が高いとされるマークの一つです。
2. ビューティー・ウィズアウト・ボス（Beauty Without Bunnies）
- 運営団体: PETA (People for the Ethical Treatment of Animals)
- 基準: PETAが独自に定める基準に基づいています。この基準は、製品の完成品および成分について動物実験を行っていないことを企業が保証することが中心となります。PETAのリストには、動物実験を行っていないブランドだけでなく、動物由来成分を一切使用しない「ヴィーガン（Vegan）」製品も含まれる場合があります。リストはPETAのウェブサイトで公開されており、頻繁に更新されています。
- 見分け方: PETAのロゴ（白地に赤文字の「PETA」）と共に、「Animal Test–Free」や「Animal Test–Free and Vegan」といった文字が記載されたマークです。パッケージや公式サイトで確認できます。「Animal Test–Free and Vegan」マークは、動物実験を行っていないことに加え、動物由来成分も不使用であることを示します。
- 信頼性: 広範なブランドがPETAのリストに掲載されており、クルエルティフリー製品を探す上で非常に有用です。基準の確認は企業の自己申告に基づいている側面があります。
具体的な見分け方：製品パッケージと公式サイトの確認
実際に製品を選ぶ際には、以下の点を確認してみてください。
- 製品パッケージ: 製品の箱や容器の裏面、側面に前述のリーピングバニーまたはPETAのマークがないかを探します。マークは小さく印刷されている場合が多いです。
- 公式サイト: ブランドの公式サイトを確認します。「About Us」「FAQ」「Sustainability」「Cruelty-Free Policy」などのページに、認定マークの取得状況や動物実験に関するポリシーが記載されていることがあります。認定マークの画像が掲載されている場合もあります。
- 認定団体のウェブサイト: 各認定団体の公式サイトには、認定を取得しているブランドのリストが公開されています。製品やブランド名で検索することで、簡単に認定状況を確認できます。リーピングバニーの場合はCruelty Free InternationalやCCICのサイト、PETAの場合はPETAのサイトをご確認ください。
認定マークを取得している代表的なメーカー・ブランド例
これらの信頼できる認定マークを取得しているブランドは世界中に多数存在します。いくつか例を挙げます。（これらのブランドは記事執筆時点の情報に基づきます）
- リーピングバニー認定ブランド例: Lush, The Body Shop (Parent company policy might differ, check brand level), Burt's Bees, E.l.f. Cosmetics など
- PETA認定ブランド例: Fenty Beauty, Rare Beauty, NYX Professional Makeup, Urban Decay など
これらのブランド以外にも、多くのブランドがクルエルティフリーへの取り組みを進め、認定マークを取得しています。気になるブランドがあれば、ぜひ公式サイトや認定団体のリストで確認してみることをお勧めします。
まとめ
クルエルティフリーコスメを選びたいけれど、何から始めれば良いか分からないと感じていた方にとって、信頼できる認定マークは羅針盤のような存在となります。特に「リーピングバニー」と「ビューティー・ウィズアウト・ボス」は、国際的に認知度が高く、製品選びの有力な手がかりとなります。
これらのマークの意味や基準を知り、製品パッケージや公式サイトで確認する習慣をつけることで、自信を持って倫理的な選択ができるようになります。全ての製品を一度に切り替えることは難しくても、一つ一つ、ご自身のペースでクルエルティフリーの製品を選んでいくことは、動物たちの福祉に配慮した消費行動へと繋がります。
この記事が、あなたのクルエルティフリーコスメ選びの一助となり、倫理的な美しさを追求する旅の良いスタートとなることを願っております。